坊の塚古墳(ぼうのつかこふん/ぼうのづかこふん)は、岐阜県各務原市鵜沼羽場町にある古墳。形状は前方後円墳。国の史跡に指定されている。

岐阜県では第2位の規模の古墳で、4世紀末(古墳時代中期初頭)頃の築造と推定される。

概要

岐阜県南部、各務原台地の東縁部に築造された大型前方後円墳である。鵜沼羽場町では本古墳含む古墳9基の築造が知られる。これまでには1886・1902年(明治19・35年)頃に盗掘に遭っているほか、1992年(平成4年)に周濠範囲確認調査が、2015年度(平成27年度)からは墳丘発掘調査が実施されている。

墳形は前方後円形で、前方部を南西方向に向ける。墳丘は3段築成。墳丘長は120メートルを測り、各務原市では最大、岐阜県では昼飯大塚古墳(大垣市昼飯町、150メートル)に次ぐ第2位の規模になる。墳丘外表では葺石・埴輪が検出されているほか、墳丘周囲には周溝が認められる。埋葬施設は後円部中央における竪穴式石槨(竪穴式石室)で、前述のように盗掘に遭っているが、石槨内からは石製品などの副葬品の出土が知られる。築造時期は古墳時代中期初頭の4世紀末頃と推定される。

古墳域は2024年(令和6年)に国の史跡に指定されている。

遺跡歴

  • 15-16世紀以前、盗掘被害。
  • 1886・1902年(明治19・35年)頃、盗掘被害。
  • 1957年(昭和32年)3月25日、岐阜県指定史跡に指定。
  • 1972年(昭和47年)、遺物の再発見。
  • 1992年(平成4年)、周濠範囲確認調査(各務原市教育委員会)。
  • 2015年度(平成27年度)以降、墳丘発掘調査(各務原市教育委員会)。
  • 2024年(令和6年)10月11日、国の史跡に指定。

墳丘

墳丘の規模は次の通り。

  • 墳丘長:120メートル
  • 後円部 - 3段築成。
    • 直径:72メートル
    • 高さ:11.5メートル
  • 前方部 - 3段築成。
    • 最大幅:66メートル
    • 高さ:8.5メートル

後円部の発掘調査では、3段の段築の1段目・2段目では埴輪は認められず、最上段(3段目)でのみ円筒埴輪列が認められている。

埋葬施設

埋葬施設は竪穴式石槨(竪穴式石室)で、後円部中央に構築されている。この石槨は明治以前(15-16世紀の山茶碗・土師皿が出土)および1886・1902年(明治19・35年)頃に盗掘に遭い、後円部中央には大きな盗掘坑が存在していたが、2017年(平成29年)にこの盗掘坑の範囲に限定して発掘調査が実施されている。

発掘調査によれば、石槨は後円部中心からやや北西に位置し、墳丘主軸と平行の北東-南西方向を主軸とする。板石を積み上げた上に天井石が架けられており、天井石は計5枚が確認されている。石槨の全容は明らかでないが、規模は少なくとも長さ6メートル・幅1.5メートルを測り、同時期では大型の石槨になる。現在、この石槨から出土したという遺物が伝世されるほか、発掘調査でも遺物数点の出土が認められている(後述)。

出土品

石槨からの出土伝世品は次の通り。

  • 琴柱形石製品 1点
  • 斧形石製品 1点
  • 刀子形石製品 1点
  • 勾玉 4点
  • 管玉 8点
  • 臼玉 13点

馬形埴輪の出土もあったというが、詳細は明らかでない。

また、2017年(平成29年)の石槨発掘調査による出土品は次の通り。

  • 墳丘祭祀遺物
    • 小型丸底壺
    • 高坏
    • 食物形土製品 - 魚形石製品・円盤状石製品の2種。
  • 石槨内埋納遺物
    • 斧形石製品
    • 刀子形石製品
    • 滑石製勾玉
    • 滑石製管玉

文化財

国の史跡

  • 坊の塚古墳 - 2024年(令和6年年)10月11日指定。

現地情報

所在地

  • 岐阜県各務原市鵜沼羽場町5-26

交通アクセス

  • 鉄道:名古屋鉄道(名鉄)各務原線 羽場駅(徒歩約6分)

関連施設

  • 岐阜市歴史博物館(岐阜市大宮町) - 坊の塚古墳の出土品を保管。

周辺

  • 衣装塚古墳 - 岐阜県指定史跡。岐阜県最大の円墳。
  • 一輪山古墳

脚注

注釈

出典

参考文献

(記事執筆に使用した文献)

  • 史跡説明板(後円部側、各務原市教育委員会設置)
  • 史跡説明板(前方部側、各務原市教育委員会、2016年設置)
  • 地方自治体発行
    • 「坊の塚古墳第3次発掘調査 現地説明会資料」(各務原市教育委員会、2017年)。
  • 事典類
    • 「坊の塚古墳」『岐阜県の地名』平凡社〈日本歴史地名大系21〉、1989年。ISBN 4582490212。 
    • 齊藤基生「坊の塚古墳」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。ISBN 4490102607。 
  • その他
    • 西村勝広ほか「各務原市鵜沼に築造された坊の塚古墳の設計について (PDF)」『第24回中部地盤工学シンポジウム論文集』2012年。[http://jgs-chubu.org/wp-content/uploads/pdfupload/download/syn5/pdf/24/s2420.pdf 各務原市鵜沼に築造された坊の塚古墳の設計について] ([[Portable Document Format|PDF]])&rft.atitle=第24回中部地盤工学シンポジウム論文集&rft.aulast=西村勝広ほか&rft.au=西村勝広ほか&rft.date=2012&rfr_id=info:sid/ja.wikipedia.org:坊の塚古墳"> 

関連文献

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 『坊の塚古墳周濠範囲確認調査報告書』各務原市埋蔵文化財調査センター〈各務原市文化財調査報告書第21号〉、1997年。 

外部リンク

  • 坊の塚古墳 - 岐阜県ホームページ
  • 坊の塚古墳 - 各務原市ホームページ

坊の塚古墳 古墳マップ

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